社会の動きと働くスペースのテーマ
働くスペースの構築に携わっていると、その時の社会の動静によってその空間のコンセプトが影響を受けます。現在は新型コロナウィルスに対する取組であって、その先のアフターコロナの働き方を見定めていくということが注目度の高いテーマとなっています。少し前は『働き方改革』や『wellbeing』という単語が飛び交っていて、10年以上前は『CO2削減』への取組ということで、働くスペースの消費電力を下げるための設備を導入したり運用がなされていました。そうした取り組みにより、その企業を取り巻くステークホルダーに対するアピールによりブランド力を高めたり、また新規雇用者の確保や離職者を減らすことに繋げるという目的もありました。
こうした流れの中で、昨今企業の姿勢を問う言葉として『SDGs』への貢献が注目されています。
人権、食糧問題、気候変動、環境保全など17のゴールとそのゴールの具体的な取組内容である169のターゲットから構成されています。企業としては、こうした目標達成に貢献することがブランディングにも繋がるのですが、その取組を行わないことが企業の存続をも脅かすことになりかねないと言われています。
SDGsの取組を空間で表現する素材は少ない
この17のゴールと169のターゲットを見ていきますと、以外にその取組を空間で表現できる素材が少ないことに気づきます。比較的当てはめやすいと感じますのが、12の【つくる責任 つかう責任】という
ゴールの中に、廃棄物の再利用により廃棄物の発生を削減するとターゲットの記載があり、リサイクル素材は、こうした取組を表現することができます。これに該当する素材が、古材等の建築廃材、リサイクルガラス、カーペットの裏打材、ペットボトルから作られたファブリック等です。
他の目標やターゲットで該当するのは?と考えてみましたが、今のところ思い当たるのがなくて
今後に期待というところでしょうか。
日本の森林(人工林)はSDGsにぴったり
私たちが以前から取り組んでいる日本の森林の木材(人工林を主に構成する針葉樹)の活用は、実はこのSDGsの17の目標のうちの3つの目標の達成に貢献します。

日本の森林の約40%が人工林とされています。その人工林の適切な保全をすることにより森林だけでなく、水や海の生態系にも影響を及ぼすと言われています。
里海と物質循環 | 里海ネット [環境省] (env.go.jp)
そして高度成長期時代に大量に植林された人工林が50年以上経過して、伐採して使用するのに良いタイミングを迎えています。従って私たちの身の回りの川や海の水を守る、そこに住む生態系を豊かにするために、この人工林の木材を活用することが現在求められています。
ジオ・パラダイスの取組
私たちは、スギに金属の粉を混ぜた塗料(私たちのオリジナル塗料)を仕上げの材料として、家具や建具等を製作することができます。こうした塗料を使うのはスギの空間における活用の幅を広げたいという想いがあります。もちろん木材のそのままの表情を活かす使い方もあるのですが、仕上げの工夫により活用の幅を広げることも必要だと考えています。働くスペースにおいても、スギなどの木材を多く活用することが当たり前の状態が来ることを目標としていきたいです。


ジオ・パラダイスの他の取組
私たちは、スギの材を活用してセルフビルドも可能な住宅DANKE HOUSEの構造用のパネルを開発しました。このパネルの中に断熱材をセットしており、気密性や断熱性、耐震性などに優れた住宅をつくることができます。木材の特性や流通の状況、その建築における必要な要素などを踏まえた上で、私たちはその木材をどのように活用すると、関わる方々にとって良い状況を生み出すことができるか?を考えて
活動を行っています。

